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岐路
これでも昔に比べて随分前向きになったほうだ。

昨年の10月頃に携帯電話の機種変更をした。
なにも新しい機種が欲しかったから機種変更した訳ではなく、それまで使っていた携帯電話が使えなくなったので已む無く機種変更をした。

『已む無く』の理由は海に携帯電話が落ちたからだ。正確に言うと僕が海に落ちて、その時お尻のポケットに入れていた携帯電話も一緒に水没した。

何故10月に海へ行くか?と、疑問があるかも知れませんが、僕は釣りバカなので、その日も倉橋で釣りをしていた。いつも釣りをしに行く場所だ。道路沿いに堤防があり、その海側には防波堤の役目を果たすテトラポットが並べられている。そのさらに海側にはテトラポットにそって石が積み上げられ調度良い足場になる。そして石のさらに内側は砂浜があり干潮時には砂浜に降りて釣りをすることができる。満潮時には石の足場のすれすれのところが海面になり強い波が来たときには少し波しぶきがかかってしまうこともある。

言うまでもないが、海には潮の満ち干きがあるため時間により水位が変わる。満潮時には行けなかった場所でも干潮時には行けるようになったりする。その逆も然り。

あの日は釣りを始めた時には砂浜で釣りをすることが出来たんです。時間が経つにつれ潮が満ち始めたので石の足場での釣りになりました。

話は大幅に脱線するが、僕は蜂が嫌いだ。蜂が好きって人はあまりいないだろうが、僕は極めて蜂が嫌いだ。子供の頃、両親と出掛ける時に家の外で両親が出てくるのを待っていた。ボーっと突っ立って待っていた。多分、アホみたいな顔をしていたはずだ。そのアホの子の半ズボンから剥き出しにされた太ももに、どこからともなく現れたどでかい蜂が止まった。適当に言ってみるが、あれは熊蜂と言う奴ではないか。動かざること山の如しと言わんばかりに僕の体は硬直した。しばらくして両親が家から出てくるのが見えた。その途端、涙が溢れて大声で泣き喚いているとアホに止まった蜂はまたどこかに飛んでいった。幸い刺されることはなかったのだが幼い子供の心に大きな恐怖を植え付けるには充分過ぎる出来事だった。

僕は蜂が本当に大嫌いだ。

前述の場所で釣りをしているとかなりの確立で蜂と遭遇する。蜂の巡回ルートなのか知らん30分くらいの周期で蜂がやってくる。僕の周りで少し「ブーン」って言ってまたどっかに行く。「ブーン」って言ってどっかに行ってくれる蜂ばかりなら良いのだが、職務質問でもしそうな勢いで周りを巡回する蜂もいる。そんなパトロール蜂の恐怖に怯えながら釣りをしている。

石の足場での釣りは難航を極めた。あと一杯釣れたら帰ろう、などと思って粘った。いつもなら早々に諦めて帰るのだけどその日は蜂に追っ駆け回されたこともあり是が非でも、もう一杯が釣りたかった。

職務質問蜂に悩まされながらも粘った甲斐有って一杯釣り上げることができて帰り支度を始める。

来たときよりも水位はかなり上がっている。来たときには普通に砂浜を歩いて辿り着けた石の足場だったが、帰りには砂浜はすっかり海の中に消えてしまって地面からは戻ることができなくなった。戻る方法は石の足場より道路側にあるテトラポットに登るしかない。コンペイトウみたいな形したテトラポットのボコッと飛び出た部分にしがみついてよじ登ることにした。

コンペイトウに手を伸ばした瞬間に海に落ちることを確信した。コンペイトウのボコッとした部分に伸ばした手は無常にも、と言うか見事に滑った。背中から海に落ちる!コンマ何秒かの間に走馬灯みたいなものがやってきた。そしてコンマ何秒後かには海に落ちている自分を想像しながらゆっくりとそしてあっと言う間に背中から海に落ちた。

瞬間。心の底から「良かったぁ。」って思った。そして声を出して笑った。近くで釣りをしている人から見ればさぞ気持ち悪かったことだろう。水位は上がっていたが、立てば腰までもないくらいの海から這い上がりずぶ濡れの状態で車へ向かった。道中、不思議に思った。なぜ落ちた瞬間に「良かった」って思ったのだろうと。

足場の石が積み上げられた先には尖った岩がいくつもある。僕が落ちたのはその尖った岩がたくさんある隙間だった。僕は海に落ちる瞬間に、その尖った岩に頭や体を打ち付けることを想像していた。だけど、落ちたのは隙間だった。

車に戻っても少し笑いが出た。本当に心底「良かった」と思った。お尻のポケットから携帯電話を取り出した。しばらくは普通の状態のようだったが、間も無く画面は真っ黒になり二度と電源が入ることがなかった。

倉橋からの帰路で先ほどの出来事を何度か思い出し、その度に笑いが出た。何がおかしいのか解らないが笑いが止まらなかった。どっかでテトラポットによじ登ろうとして手が滑って海に落ちて尖った岩で頭でも打ったんじゃないかってくらい笑いが出た。

電源の入らない携帯電話に目をやり、新しい電話に変えるキッカケになるな。良かったな。などとは思わなかったが、海に落ちた瞬間に「良かった」と思えた自分に正直驚いた。
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未分類 | 00:54:51 | トラックバック(1) | コメント(0)
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まとめteみた【便りがないのは良い知らせ。】
これでも昔に比べて随分前向きになったほうだ。昨年の10月頃に携帯電話の機種変更をした。なにも新しい機種が欲しかったから機種変更した訳ではなく、それまで使っていた携帯電話...
2012-03-18 Sun 06:37:36 | まとめwoネタ速suru

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